新しい曲の譜読みの仕方について

新しい曲の譜読みの仕方について

新しい曲を譜読みする時に、皆さんは具体的に何から始められるでしょうか?

私は自分が受けてきたレッスンを振り返ってみると、「じゃあ、次はこれを見てきてね。」と先生に言われて、それ以上先生から譜読みに関して、何かアドバイスをいただいた記憶はあまりありません。

とりあえず最初から、両手で出来そうな所は両手で見て、片手からでないと難しい所は片手で、弾きながら指使いを考え、跳躍の大きい音や加線の多い所は、個別に音を書き出したり、アーティキュレーションや強弱記号等、注意しながらざっと見ていき、ある程度指がはまってくるようになれば、更に楽譜の細かい記載を見ていき…という感じでやっていました。

しかし、現在も師事しているクラウディオ・ソアレス先生に教わるようになってからは、一変しました。
なぜなら、先生の「何故そう弾くのか?」という問いかけに答えられなかったからです。
先生は、ご自分のやり方を一方的に押し付けることはせずに、まずは、何故そのように弾くのか「理由」を訊いて下さいます。

私が上手く説明出来なかったり、曖昧な考えでやっている場合には、「こうやってみたら?」とアドバイスを下さり、考える余地を与えて下さいます。

そのように自ら「考える」ことを積み重ねて行くと、自ずと先生に言われる前に「自分はどうしたいのか」を、意識するようになります。

もちろん、音楽は理屈だけでなく、感覚的な部分も大いにあるので、その両方が上手くバランスが取れていないと、説得力のある演奏にはならないと思います。

ドイツに留学すると、更に「あなたはこの音楽をどう表現したいの?」と常に問われ続け、日本で勉強していたことがいかに表面的なものであったのかを思い知ることになります。

つまり、譜読みの段階から「音楽」の性格をイメージして取り組まないと、指使い等も違ってくる上、いわゆる「作業」で終わってしまい、そもそも「何のために」やっているのかが抜け落ちてしまいます。

指を動かす前に、理想の音楽を「表現」するためには、「どんな音楽なのか」をイメージすることから始めるのが、「譜読みの第一歩」といえると思います。