ドイツ・ピアノ指導経験記

日本とドイツのピアノ教育の特徴とは?

プロフィールに記載しているように、1998年から2004年にかけての6年間、ドイツに留学していました。そのドイツに留学中、現地でドイツ人の子どもから大人までを対象に、出張レッスンを行っていました。
そこで得た経験から、ドイツでの音楽教育についてお話ししたいと思います。

ドイツでは、日本のように、幼児のうちから音楽教育にお金をかける家庭は少ないように思います。
日本では、駅前などにある大手の音楽教室から個人の音楽教室まで、あちらこちらに教室があり、いつでも気軽に体験レッスンを受けることが出来ます。

教材も、日本には子どもが喜ぶようなかわいいデザインや挿絵の入ったカラフルな教材が沢山ありますが、ドイツにはそれほど多くの選択肢はありません。
教室も音楽学校や音楽院併設の一般向け教室か、個人の教室でレッスンを受けられますが、日本ほど数は多くなく、むしろ、日本の方がドイツよりも音楽教育が盛んといえるのではないでしょうか?

ドイツの教材と指導法

そして、驚くことに!今でこそ使う人が少なくなったものの、私の子どもの頃にはピアノといえば「バイエル」が当たり前だったのに、ドイツでは「バイエル?何それ?」と言うように、使っている人は私の周りには誰もいませんでした。

では、何を使っていたかというと、「Russische Klavierschule」(ロシアのピアノ学校)や、「Europaeische Klavierschule」(ヨーロッパのピアノ学校)、シューマンの「Jugend Album」(子どものためのアルバム)等で、日本ではドレミ~♪で歌いながら音を覚えて弾きますが、ドイツでは、民族歌曲(Volkslied)等、曲に歌詞があれば、歌詞を歌いながら弾きます。歌詞が無い曲の場合は、ドイツ音名のCDE~♪で歌います。
他は日本と同じように、指使いや強弱等の音楽記号を見ながらレッスンしていきます。

ただ、日本の子どもの場合、本人の意思よりも親の勧めで習い始めるケースが多いため、なかなか集中出来なかったり、音楽にあまり興味が無いのに通っているため、レッスンに来るのが苦痛になってしまったり、ということもあります。
ドイツの場合、本人が音楽に興味とやる気があればやらせる、というスタンスなのと、小さいうちから自分の意見を持つように育てられているためか、「こうしたい」という希望がはっきりしているように感じます。

ドイツでの指導経験から得たもの

当然、レッスンはドイツ語で行うわけですが、音楽用語はともかく、会話は相手に伝わらなければ意味がありません。音楽は言葉のいらない音(演奏)を通じて感覚的に通じ合える世界共通語ですが、やはり人に教える際には、語彙が豊富でないとなかなかこちらの意図が伝わらないため、ドイツ語のレベルアップのためにも、とても良い経験になりました。

逆に、日本語の意味を改めて深く考えるきっかけにもなり、日本での指導においても、ドイツでの指導経験が生きています。例えば、曲にタイトルがある場合、そこからイメージをふくらませて曲想を考えますが、「犬」一つとっても、日本人が想像する犬と、ドイツ人が想像する犬は違います。動物の鳴き声から、景色、季節の感じ方など、様々なことを「音」で表現するのに、具体的にイメージしやすいよう、生徒さんにいろんな角度から質問をし、お子さまには絵を描いてきてもらうこともあります。

そのようにして、自らの頭で考えた音楽は、個性豊かで説得力のあるものになります。
その作業に慣れてくると、ただ楽譜に書いてあることを鍵盤に当てはめるだけでなく、日常の出来事で感じたことを、「音」で表現することに結びついてゆき、感性も磨かれます。

自分で感じたことを表現出来たり、またそれを人前で演奏することで共有出来たりするって、素晴らしいことではないでしょうか。フロイデピアノ教室では、「音楽する喜び」をお手伝いしますので、ご興味を持たれた方は、是非いらっしゃってください。

帰国後の現在も、ドイツ人と日本人のハーフの子どもをドイツ語でレッスンしています。
ドイツ語でのレッスンご希望の方も、お気軽にご相談ください。

お問い合わせフォームはこちら